シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

頬に十字キズの事───京都大火を経て

こんにちは。

 今回は映画るろうに剣心の主人公を独断と偏見ある感想をイラストと共に語りたいと思います。

 

 では、ここから作品のネタバレ注意です。

 

緋村剣心。頬に十字傷の男は根暗で前向きだと思う。

彼は剣術を身に付けて相手の死を選択できる力量を持っている。だから、周囲に必要とされ利用されてしまった。そういう時代に生きていた。

彼自身は血なまぐさい時代の先を目指したのだと思う。その新時代を導く為に逆らう者を暗殺し、時代の到来を早めようとした。人斬りの快楽に溺れたわけではない。人斬り行為に日々の居場所を見出したのだと思う。志の高い人々に代わり、その志を阻む者を斬る。自身だけができる事。人斬りを歓喜する者が居る。必要とされ、人を斬る度に時代が進む感覚を身に受けた事もあったかもしれない。

自身の行為で周囲の人々に喜びを与えられる。人斬り行為に彼の自己確立があった。

 

しかし、ある日の暗殺でその自己確立にわずかな寒気を感じる。

桜の散る夜の暗殺。いつもと同様に抜刀し、人を斬り、立ち去る。自分達の志に不都合な者の暗殺である。その夜は祝言を上げた男を斬った。斬ったはずだった。

斬ったはずの男は生に執着した。死んでいないから、もう一度斬った。それでも男は生に執着している。そんな悶着の最中に剣心は頬に一文字の傷を負う。最後に剣心は男を刺し殺した。

その次の朝は雨が降っていた。せっかく咲いた桜が雨の雫に濡れ落ちてしまう雨が降っていた。昨夜の暗殺現場の野次馬達は傘を差して居る。その野次馬の中に剣心は居る。

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生に執着した男の亡骸に泣き崩れる女が一人。傘を差さず、その亡骸にすがり付く女もまた、その男の生に執着している。もうその生は無いのに。剣心が刀で葬ったのに。

剣心の自己確立の寒気はその身の深淵に伝わり、殺さずの誓へ至る。

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剣心は感化され生きている。どんな志を前にしても、どんな死を前にしても揺るがない確固とした精神は持っていない。強い想いに揺さぶられる弱い精神なのだと思う。その弱さは時として人斬りの血を目覚めさせる。

だから、悩み苦しんだ末に人を避けてしまう。執着して一カ所に留まる事ができない。

常に求められるのは人斬りの才能だけ。死を脅える者にとって死を司る力は強さの証明であるから。超える事によって最強を証明する為。

─── 人斬り抜刀斎は何処だ。 何処かに居るはずだ。

殺さずの誓を抱き、逆刃剣を帯刀していても人斬りの血の匂いを探し求める者が群がる。

 

剣心は、自身の命の価値に重きを置かない。命を犠牲に血で汚れた手で後から来る者に道を築こうとする。そこに希望を見出してしまう。

自虐的である事が自己確立へ変化した。自己犠牲である。

 

そして、剣心は東京で薫と出会う。人を活かす剣を知る。此処に居たいと想う。

薫の強い想いに感化され、剣心は変わる。

誰かの為に生きる。誰かの為の自己犠牲へと。

 

さらに、逆刃刀の意味と想いを知る。

 

弱い心だから立ち止まる。そこに横たわる懊悩の意味や自身の行いに問いかける。粘り強く思考して、自身の意志を見出し、進む。そこに緋村剣心の魅力を感じる。

 

最後までお付き合いありがとうございます。