読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

包帯男は笑う。──伝説の最期を経て

こんにちは。

 今回は映画るろうに剣心の志々雄真実を独断と偏見ある感想をイラストと共に語りたいと思います。

 

 では、ここから作品のネタバレ注意です。

 

 

「強ければ生き、弱ければ死ぬ。単純明快な真実だ。」

 包帯姿の男は剣心に語る。

 

 新政府の影の人斬りであった剣心の仕事を秘かに引き継いだ男。新政府の子飼の暗殺者、志々雄真実。

f:id:kimerateiru:20151007141454j:plain

 新しい時代になり、新政府は志々雄を口止めの為にと殺そうとする。それは斬殺に酔狂する志々雄の弱さを狂気と恐れた為かもしれない。志々雄は刀で串刺しにされ、油をかけられ炎で焼かれる。彼等に都合の悪い者の暗殺の記憶と共に闇に葬られたはずだった。

 志々雄は生きていた。

f:id:kimerateiru:20151007141559j:plain

 全身に火傷を負い、野心の火を燃やす。幕末の残り火として、幕末の未練によって、その火は大きくなり新政府に対峙する。

 志々雄は新政府を信じて裏切られ、油断して殺されかけた。他者への信頼は弱さであると悟り、自身を守る強さを求める。

 だから、今の時代を否定する。

 かつて活きていた時代を取り戻そうとする。自分なりの正義である弱肉強食を信念に人々を変え、強国を想い、富国強兵の新政府を相手に国盗りを始める。自身を中心に世界を変える為にと。

 

 火傷の熱がその信念を強くさせ、火傷の跡が自身の弱さに戒めを与える。外観が内面を変化させると共に、弱さゆえに傷付いた者への道標になる。

───志々雄さんのように、志々雄様のために。

 

「志々雄に忠誠心なんてあらへん。利害関係があって、集まってるだけヤ。」

 強さを求める者が志々雄の下へ集まる。修羅の蠢く地獄を理想郷とし、弱さを演じ守護を求める者を痛めつける。死の境界に近づいた志々雄は這い上がる事を伝えようとしている様にも、かつての自分を否定する様にも見える。どこかしらに優しさを感じる。

 新時代を生きる人々に、業火の中から這い上がる強さを求めたように感じる。

 だから、ただ歴史をなぞり東京砲撃の目を反らすだけでなく、京都の大火計画に憂いの眼差しを感じる。

 新政府の与えた平和に思い上り、飼いならされる者を見るに耐えられない志々雄は想うのだろう。幕末の京都は血で血を洗う斬殺の日々であった。死への緊張感がいたる場所で満ちていた。生きる事に洗練さが増していた。その信念の集団に強国を見出そうとしている。

───人間の本性は修羅、現世こそ地獄。

 

f:id:kimerateiru:20151007141653j:plain

  その幕末の京都で蠢いた修羅に共感を求める。斎藤に、剣心にこちら側に来ないかと修羅を語る。そこに淋しさを感じる。由美に愛され、宗次朗に慕われても満ちていない何かを求める様に共感を求め、功名心は大きくなる様に感じる。

 孤独感と背中合わせの功名心に由美が惹かれたのであれば、それもあるべき姿の一つなのだろう。

 そして、剣心によって執念を燃やし、由美の愛情によって地獄の国盗りを決意する。

 報われない幕末の代弁者として未練を晴らし、新たに居場を見付けられれば志々雄たちを救えたのかもしれないと思うと、炎上する志々雄をみる剣心たちが印象的でした。

f:id:kimerateiru:20151007141910j:plain

 

 志々雄は決意の固い男である。優しさも持ち合わせている。カリスマもある。周囲からの活かされ方が歪んでいた為、弱さや淋しさゆえに悪人扱いされてしまった。最期の炎に心の解放が感じられる事が救いでした。

 

最後までお付き合いありがとうございます。