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シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

未知数のチェロ。:IF I STAY イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所

ドリーム

こんにちは。

 今回は映画イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所のあらすじと感想を独断と偏見で、イラストと共に語りたいと思います。

 

 では、ここから作品のネタバレ注意です。

 

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クラシックの秩序と骨組みが好きな女の子。鼓動との同期するチェロ。

 パンクな家庭で育つチェリストの高校生がミアだ。彼女の彼は地元でバンド活動を成功させる。彼の名はアダム。チェロを演奏するミアに一目惚れした。

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 雪の日。家族4人で移動する車中でベートーべンを聞きながらミアは両親とチェロとの回想に浸る。父親は未来の明るいパンクドラマーだったが教師になった事、ミアは幼い頃からチェロが好きだった事。

 ミアはチェロと彼と大学の合否通知が頭の中を巡る。その時、自動車事故にあう。

 そして、幽体離脱している自分に気付く。救急隊の人々と車両、反転した家族の車、危篤状態の自分。ミアは病院へと運び込まれ手術の必要な状態である。

 回想と共に自分を取り巻く人々の想いを目の当たりにしながら結末へ向かう。

 

運命は自分次第。生きるのも死ぬのも全力で戦って。

──彼が誘ってくれた初めてのデートはクラシックだった。その日、音楽に惹かれるお互いを知る。その後、ミアは彼のバンド活動に参加して自身の嫉妬を知る。その事に向き合う彼の優しさ。家族に恵まれないアダムは彼女の家族にも惹かれて行く。

 

 ミアの手術は終わったが、両親の死を知る。廊下の奥の方から光が増してくる。

 とっさに弟の容態が気になりミアは走り出し、無事である事を知る。一方、事故を知ったアダムはミアの病室へ走る。

 

──ミアは演奏会でチェロを弾きながら想う。彼がバンドで成功した事、卒業後に一緒に暮らす約束を交わした事。

 

 求められ満たされていながらも戸惑い孤独を感じさせられる表情のミア。彼女を求め、音楽に自信を持つアダム。二人の真面目な想いに理想を抱いてしまう。

 世の中、こんな風に皆が寄り添えられたら平和なのに。しかし、交通事故をキッカケにミアは両親を失い弟と二人きりの家族になってしまう。

 

今の私はチェロが創った。

 ICUに移動したミアとの面会が出来ないアダムは怒りを隠せない。

 

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──音楽大学への話がミアの心を揺らす。夢を追えば彼と暮らせない。ミアは進学を彼に隠し、アダムはバンド活動で各地を巡り、お互いの心に距離を感じる。

ついに、ミアは進学を彼に打ち明ける。その事に純粋に喜ぶアダムに戸惑いを感じる。

後日、バンド活動を終えたアダムはミアと話す。そして、二人の距離は決定的にはなれてしまう。アダムは進学を黙っていたミアに怒り、許可がないと夢も追えないとミアは反論する。アダムはミアを慰める事なく、お互いの夢を追おうと立ち去る。

 

 ミアは進学をキッカケにアダムを試したように感じる。ただ独り占めしたいだけのワガママであるけど、純粋な想いを感じる。

 

一歩も引かずに力を出し切った。

 アダムは昏睡中のミアから人工呼吸器を外すテストに、いたたまれず背を向ける。

 

──ミアはあの日別れた後もアダムが気になる。授業中にSNSで彼の行動を覗き、自身の誕生日の食事中は上の空で頬杖をつく。そんなある日、アダムが訪ねて来る。彼女の部屋にサプライズを仕込み、誠意を伝える。ミアは彼の優しさに感化され、心の距離は近くなる。そして、チェロの実技試験で実力以上を出し、チェリストである事に実感する。

 

──ある日、ミアは私の歌はないのかをアダムに問う。アダムは幸せな歌は書けないと答える。そんなアダムはミアを必要とし、彼女の進学と遠距離恋愛に覚悟を決める。

 

 ミアの求められたい気持ちが溢れている。しかし、まだアダムは求める事で自身の殻を破壊する事が出来ていない。二人の関係が不安定でも安定させようと寄り添う二人に印象的な空気が流れる。

 

みんな、居間へ移動して。…パレードを見てくる。

 アダムは屋上でミアの友人に語る。ミアに一目惚れした事、手放してしまった事、逝かせられないという事を言葉にして行動する。

 一方、弟は懸命の処置にも命を落としミアは悔しさと孤独に耐えきれず生きる意志を否定する。廊下の奥はさらに明るさを増す。家族を失い孤独のミアの心の向かう先が気になる。

 

──二人は共に新年を迎え喜ぶが、来年も同じ新年を迎えられない事に暗い結末を感じる。

 ミアは母に彼との別れを告白する。母からの慰めに包容力と厳しさを感じる。

「どの道を選ぼうと幸せになれる。反面、失うものも。」

 

 祖父は意識の戻らないミアに父の想いを語る。その事でミアは託された愛を知る。そして、祖父は一緒に生きようと語るも、孤独で辛すぎるかもしれないなら逝ってもいいんだと涙して、ミアの手を握る。

 

──ミアは人生最良の日を思い出す。アダムと気まづくなる前の事、たくさんの人に囲まれて共演した夜。アダムの歌声とギターのリズムにミアのチェロがベースを奏でる。その事で一体感を感じ、音楽の輪が広がっていった日の事。居場所を感じた時の事。

 

 そして、ミアは満たされた笑顔で明るい廊下の先へと向かってしまう。しかし、チェロの音色が彼女の足を病室へ向かわせる。そこにはアダムがミアに想いを語り、体温を感じている。アダムはミアとの未来を語り、幸せな歌を奏でる。アダムはミアを求める衝動で自身の殻を破壊して、想いを曝け出す。形のない想いを唄へと表現する。想いに形が生まれる。メロディーと共に想いをミアへと届けようとする。

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 その歌声にミアの孤独を求める心が震える。意識の深淵にある心に光が射し、力強い衝動が生まれる。

 

 

 ミアは内側に居場所を見付け、チェロの低音に心落ち着かせる女の子なんだ。だから、バンドに恵まれるアダムを羨ましがり、バンドを諦めても家族に恵まれる父にも羨む。そして、相手を試し求められる事に安心を感じる。幽体離脱して人々の想いを受け止めて満たされて、生きた事に満足してしまう。

 そんなミアに男達は未来を捧げて歓喜する。惚れた者負け。負けるが勝ち。幸せを信じ込む者にとって、不幸は全て糧となる。そして、男達は幸せの本質を悟る。愛が還ってくる。

 父は教師の職と家族を手に入れ、アダムは新しい自分を見付ける。彼女を愛した者は愛によって成長を果たす。そんな魅力を持つミアの成長も感じる。

 ティーンでこんなにリアルで充実できるなら爆発しても良いと思わせる映画でした。

 

 最後までお付き合いありがとうございました。