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シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

風の日も、雨の日でもステキ。:アバウト・タイム-愛おしい時間について-

コメディー ドリーム

以下ネタバレ注意です。

 いつまでも聞いていたいピアノの音色が印象的な映画だった。

 映画、アバウト・タイム-愛おしい時間について-は、ピアノの音色、カモメの声と波音で始まる。

起きろバカ兄貴

 22歳のティムは、自分の人生をさかのぼれるタイムトラベルの体質を父から知る。

 今でも父はタイムトラベルが出来る。父と子は、そのスキルで築く理想の人生設計について語る。かつて父が知った教訓を子に伝え、子は教訓を糧に未来を切り開こうと希望を抱く。理想の父子であり、男同士の企てだ。

 そんな、父と子は卓球を楽しむ。そのラリーは時を刻む秒針のように聞こえる。

 そして、ティムは恋人つくりの為にスキルを活用する。恋のトキメキに震える失敗を幾度もやり直す。その瞬間を繰り返し、段々と恋の所作に熟練してゆく。

 それでもダメな結果はダメなのだ。何度時間を繰り返しても、その夏の恋は叶わない。ひと夏の時間に失恋の経験を重ねるだけなのだ。負けるな、ティム。

オゥ♡何か肘にあたった。

 そして、ティムはロンドンで父の知人の同居人になり就職する。ある日、恋とは無縁の毎日に奇跡が起こる。メアリーと恋に落ちるのだ。

 このシーンのメアリーと恋に落ちる演出がとても良い。心拍数の上昇が恋心とカン違いさせる恋の吊り橋効果と共に、二人が心を開いていく様子を感じる。

 二人の会話は探り探りと始まり、次第に喜びに変り、落ち着きと共に親密さを増す。やったね、ティム。

 しかし、歓喜の帰宅は同居人の悲劇に遭遇する。彼が演出した演劇が大失態の結果になる。その事に同情したティムはタイムトラベルで時間をやり直す。

 そして、演劇は成功するが、メアリーとの、その時間は取り戻せない結果になる。優しい男だよ、ティム。

浜辺の少女 そのままなんだ。

 ティムは修正された時間の記憶をたよりにメアリーを追い求める。それは、ティムだけが体験した時間である。それなのにティムは会いたかったとメアリーに伝えてしまう。メアリーにとっては初対面であり、ティムは変質者あつかいされる。それじゃストカーじゃないかよ、ティム。

 それでも、ティムは繰り返し修正した時間の中でメアリーを求める。一方的に彼女を理解する度に恋に溺れてゆく。恋は惚れた者負けだね、ティム。

 好奇心に忠実なティムは、彼女と触れ合いたい為に行動と時を重ねる。結果として、他者はそれを努力と言うのだ。喜びを糧に積み上げた時間が努力と称される。

 そして、ついに二人は最高の瞬間を迎えるが、カッコよくきめられないティムは何度もその瞬間をやり直してしまう。欲望のままだね、ティム。

でも言っちゃダメ。うぬぼれるわ。

 ティムとメアリーは、めでたく結婚する。

 この結婚式のシーンは最高だ。嵐の中での結婚式が始まる。強風が舞い上がり、豪雨が襲う。悪天候の驚愕の中に感情の豊かさがある。気取る事ない、あるがままに歓喜する人々がいる。ロマンティックな状況じゃなくても幸せなら、かけがえのない思い出に変わる。

 最高に笑ったよ、ティム。

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ゴージャスだ。これに決まり。

 ティムに家族が増えて、タイムトラベルのスキルが活躍する場面が無くなる。幸せだからだ。瞬間を修正する必要が無い。在るがまま、気ままに日常が過ぎてゆく幸せがそこに描かれている。失敗も喜びに変わる。タイムトラベルで幸せを掴んだんだね、ティム。

 でも、タイムトラベルが必要な瞬間が起きてしまう。そして、全ての瞬間を望むままに修正できない事を知る。ティムは、生を代償に修正しようとする間違いに気付く。

 そして、誰かを大切に思いやる事を伝える大切さにティムは気付く。

 更に、修正できない死を知ることになる。いつかは悲しみを受け止めなきゃいけない日がくるんだね、ティム。

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最悪の日だったよ(笑)

 人生は可能性に満ちているように感じる。でも、失敗を繰り返す度に可能性は失われ、あの時こうすればと後悔を引きずって生きてしまう事がある。

 もしかすると、人生の重要なポイントは避けられないのかもしれない。運命の人に惹かれたら、何が何でも心が求めてしまう。その人と幸せになろうと行動する。大切な人の不幸を変える事は出来なくても、思いやる事で伝えられる感情がある。あなたは大切な人だから幸せになってほしいと、自分を大切にしてほしいと伝える事ができる。

 そうやって、遠回りしながらでしか伝えられない事がある。ゆっくりと人の心の奥に熱を伝える大切さだ。

 ティムが最後に悟った事に共感した。毎日の忙しさに追い掛け回されながら日々を生きて、感情を殺してしまう事がある。でも、人生を楽しむべきだ。喜怒哀楽を大切に、悲しみを悲しみとして、喜びを喜びとして時を重ねられたら最高だ。そうして、今日の1日を楽しみたい。いつか、どこかへ辿り着くのだろう。

 誰もが幸せになろうと思い生きてきた。それでも、悲しみに出会う。その悲しみを乗り越え、喜びを糧に生きている。そう思う事で他人を大切にできれば幸いだと思う。