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シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

制作過程、と言う名の自己肯定:イラストメイキング

 今回はイラストメイキングです。

 画像検索をキッカケに、このブロブへ遊びに来てくれる方々もいらっしゃいます。閲覧ありがとうございます。感謝の意を込めてメイキングを紹介しようと思います。

 制作過程を知る事でイラストや絵画の鑑賞が楽くなれば良いなと思います。

 今年から作画アプリにメディバンペイント(MediBang Paint)を使用しています。名称からバンと破裂音がして、芸術の爆発を感じずにはいられないアプリです。無料の響きに誘われて、試しに使用したらドハマりしました。使いやすいです。メディバンさん、ありがとうございます。キレイな線が描けるという事だけで作画の楽しみが膨らみます。

 

 さて、今回は映画“幕が上がる”の本広克行監督の画創りと黒木華さんの演技に感動した1シーンです。黒木華さんが演じる吉岡先生の作画制作過程を紹介しようと思います。華と書いてハルと呼ぶのですね。しばらく知らずにハナと思い込んでいました。黒木さんごめんなさい。

※以下映画“幕が上がる”のネタバレがあります。

 

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  まず初めに、鉛筆ブラシで線画を仕上げます。この工程が一番大変で、時間がかかります。線画工程はヤグラの石垣の様です。この段階で良しと思えないと次の工程へは進めません。気に入らない時は、何度も描いては消します。描く事を辞めたり、違う角度からの表情を描いたりして試行錯誤しています。

 

 人物画では表情を描く事を大切にしています。似せよう似せようと描くと表情が死んでしまう事が多いのです。石膏像デッサンの様な表情のない静物画になってしまいます。拙い線でも、表情が活きている画が好きです。この事を弁明する為の記事です。

 

 人物の表情を感じる事で、楽しい目は、喜んでる口元は…などと人柄を自分なりに理解できます。そう観察して理解する事で、描く事も自然と楽しくなっていきます。似てない、下手クソ、時空の歪みなどと他人から罵られても、表情を描けた事に自己肯定できます。自分の美意識を大切に描いていきます。美意識を独善的にする事で自分らしさが浮き彫りにされます。もしかすると、今の美意識は新しい刺激によって次の瞬間には変化しているかもしれない。それで良いのだと思います。

 

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 次に着色です。今回は水彩ブラシの不透明度を低く設定して、よく色味を観察して探り探り着色していきます。筆を動かす方向は肉付きやシワに沿って動かしていきます。

 

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 髪を描いていきます。前工程と同じ様に薄いブラシで色味と流れに注意して筆を動かします。重ねられた色が髪の奥行を感じさせます。時に、大胆な流れの線が表情を豊かにする事もあるので、人物から感じた印象を大切に描きます。

  吉岡先生は、髪を解き教室の窓を開け放つ事で教師から舞台女優へと気持ちを解放していきます。その喜びを髪の流れに感じます。窓からの風と陽の光で、自由に透明感のある髪を描きたいと思いました。

 

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 影を付けていきます。同じ様に水彩ブラシを使います。曲線を表現したい部分は、ぼかしブラシで影の端をぼんやりとしていきます。

 吉岡先生から感じる女優の喜びと教師の堅実を明暗で感じました。教師である今の自分に光が当り、女優を演じる喜びがあふれています。教室は現実であり雨風をしのげるけど暗く、外は不安定な世界だけれど夢が広がり明るいのです。

 

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 ハイライトです。女優への喜びと自由を髪のハイライトで表現していきます。ここが一番楽しい工程です。この工程の為に色合があり、陰影があるのです。外の世界からの風と光を思う存分に輝きで表現しました。

 

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 背景と前景を描いて、光を加筆して、薄いオレンジ色のレイヤーを焼き込んで放課後の光を表現しました。こうして画の奥行が出来て、前景の演劇部員達と同じ気持ちで吉岡先生の喜びを目の当たりにします。

 美しいと思える風景や芸術は、自身の感性を成長させてくれます。ナゼ美しいと思えるのかと自身の感性を深く探る事で、見えている風景が変わる事があります。世の中は殺伐とした時もありますが、より豊かな感性に触れ合える事を願います。

 

kimerateiru.hatenablog.com