読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

天気予報が語る事:ジョン・ウィック

 

※以下ネタバレ注意です。

ストイックな男はダークスーツが似合う。“ジョン・ウィック”は、そんな主人公のカーアクションとガンフーに魅力を感じる映画です。

つい惹かれてしまう車や銃の魅力。造形美の内側に、圧倒的な力の存在を感じてしまう事があります。エンジンのスタート音や銃声に感じる恐怖心。でも、その能力は自身で制御してこそ魅力が引き出されるものです。

度を越した能力は、感情に任せてしまうと取り返しのつかない結果を招いてしまう。だから真摯に向き合う必要があるのだと感じます。

ジョン・ウィックは力の使い方を知っている。そんな彼の心の葛藤も見所の1つの映画です。

 

ファーストシーンに流れるラジオ。その天気予報に、これから描かれる事を予感する。そして、スマホから流れる妻との動画と、彼の疲労具合から、とめどなく切なさが伝わってくる。この演出がとても良い。スッと映画に感情が向いて行きます。

 

大きく時間を遡り物語は流れます。ジョン・ウィックという男の存在を感じ、名を聞くだけで強面のオッサン達が表情を変える。そんな緊張感が映画の前半に漂います。

しかし今、その男から凄みは感じられない。当の本人は妻を病魔によって失い絶望の淵にいる。彼の視線は遠くにある様に感じる。そして、妻から最後のメッセージと共に犬の成長を託される。

その後、マフィアのボスのボンクラ息子から強盗の襲撃を受けて、あっさりとやられてしまう。愛犬を殺され、愛車を奪われてしまう。

盗難されてしまう愛車のマスタングジョン・ウィックに似合っていてカッコイイです。ファッションは、その人の人間性を表しますね。

そして、ジョン・ウィックという男の存在の凄みが描かれていきます。

f:id:kimerateiru:20170111210936j:plain

 

復讐心を抱いたジョン・ウィックは再び銃を手にする。かつて殺し屋として働いていたジョン・ウィクは、ある女性と出会い、結婚する事で血生臭い裏世界と絶縁していた。

妻の存在が、彼の内に在る殺意の限界制御装置だった事を知り、グッと作品の世界観に惹き込まれます。恐れられる伝説と子犬すら守れない存在の差に、妻の愛と彼のデレっぷりを感じるのです。

あの人に対して相応しい生き方をしたいと思える事で自身を成長できる。ジョン・ウィックは真摯な気持ちの男なのです。だから、絶縁した裏世界に戻ってきても信頼されている。裏世界へ戻る事を懸念する友人の存在も描かれています。

そうして、ジョン・ウィックの復讐劇が展開されていきます。

f:id:kimerateiru:20170111210851j:plain

 

マフィアの送り込む刺客を相手にした命の争奪戦が凄い。互いに対峙した時、殺るか殺られるかの二者択一しか感じられない時に、剥き出しになるジョン・ウィックの殺意。その殺意が、筋肉の使い方を思い出せているかの様だ。どんなに大きな筋肉が身に付いていようが、使い方を知らなければ、行動に対する能力は上昇しない。彼を殺そうとする行動は、皮肉にも彼の才能を呼び覚ましてしまう。一殺一殺が、かつての自分を呼戻している様に感じます。

 

彼はハンドガンを遠距離の殺人兵器として使おうとしない。格闘戦のトドメとして使う。肉弾戦と銃声から感情が伝わってきます。ガンフーと呼ばれるアクションシーンに迫力を感じる。とにかくカッコイイの一言に全てが要約されてしまいます。

そして、血まみれの結末が描かれていきます。ジョン・ウィックの心の支えになっている妻の存在が切ないです。そして、その妻の想いを抱いて愛犬に寄り添う彼の背中を眺めていると勇気が湧いてきます。彼のような強い意志を育みたいと思えてくるのです。

 

この映画“ジョン・ウィック”はすでに続編の公開が決まっています。実に楽しみです。

その事を知った後に再びこの映画を観てみると、ファーストシーンのラジオの内容に感じる意味合いが変化します。そのラジオからは、良くなった天気は長続きしませんと流れています。続編が楽しみな映画です。

個人的には、ジョン・ウィックが妻となる女性と出会い、価値観が転覆し、命懸けで裏世界と絶縁した話がとても気になります。その過去が続編で描かれているのか楽しみです。