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シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解説。或は、落書き。

渡るカンヌのパルム・ドール:山田孝之のカンヌ映画祭

 

※以下ネタバレ注意です。

深夜ドラマ “山田孝之カンヌ映画祭”は、とても面白いです。そして、実に刺激的です。

2016年夏。山田孝之さんと山下敦弘監督がカンヌに訪れるシーンから始まります。観光客で賑わうカンヌに2人はタキシードと蝶ネクタイという正装で闊歩しています。シャンパングラス片手に海を眺めたり、赤絨毯の階段で手を降ったり、肩を抱き合って親指を立てたりとシュールな光景から、オープニングへと繋がります。

オープニングの画も曲もカッコイイですね。カンヌ映画祭に関わる映画のタイトルで構成された歌詞から山田孝之の心の叫びに聞こえます。

 

そして、事の始まりへと時間は戻ります。俳優、山田孝之山下敦弘監督を楽屋に呼び出し、賞が欲しいと熱弁を伝えます。獲るなら「カンヌ映画祭の1番のやつ」が獲りたい。獲りたいから一緒に映画を撮りたいと始まります。

山田孝之は、山下監督の受賞した賞をさらりと半端扱いして、トップのカンヌの賞が獲りたい、獲りたいですよねと、監督を巻き込んでいきます。2人の感情の温度差から可笑しさがこみ上げてきます。山田は、トドメの口説き文句に「本気出せば」獲れると凄みます。凄まれた監督は「そういう事なのかな」と呟く言葉に笑いが止まらなくなります。

山下敦弘監督はスゴい監督さんです。“味園ユニバース”は熱いモノがグッとこみ上げてきます。“もらとりあむタマ子”も良かったです。俳優さんの魅力を引き出す監督さんだなぁ、と印象にある監督さんです。その監督の賞を半端扱いして、本気出せばカンヌの賞を獲れるなんて、可笑し過ぎですよ。熱いな山田孝之

そんな温度差のあるやりとりにムロツヨシが現れます。一悶着ありそうな予感です。ニコニコとねっとり二人に絡んできて、あらぬ方向へと可笑しさは向かいます。ムロの陽気な粘着質が面白い。

 

その後、山下監督は山田が立ち上げた会社の事務所へと呼ばれます。その事を監督は初めて知ります。山田の行動力に始終、困惑する監督の可笑しさがだんだんとクセになります。スゴく良い事務所ですよ。壁紙の深い藍がおしゃれです。画太郎先生の画もインパクトあります。クリームソーダシティの長尾謙一郎先生の画もあり、個性的な事務所です。

その事務所で山田はエド・ケンパーを題材に映画を撮りたいと監督に相談します。大柄な猟奇殺人鬼です。親殺しを描きたいと語る山田は、俳優ではなくプロデューサーとして映画を撮りたいと語る。約束事の様に監督は困惑しながらも事態を飲み込んでいきます。視聴者は監督と同じ目線で、山田の熱意による事の成り行きを経験し、好奇心が刺激されます。そして、山田の熱意に監督が困惑する度、可笑しさがこみ上げてくる構図が観ていて飽きません。映画を製作する楽しさや困難さを見守っている様です。

さて、誰が屍姦もしている猟奇殺人鬼を演じるのでしょう。監督は大柄な猟奇殺人鬼の配役にリスキーさを感じます。しかし、山田は魅力的な役柄であり、既にキャスティングしてあると語るのです。

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2人は事務所を後にして、猟奇殺人鬼役の俳優さんに会いに行きます。

その場に現れた俳優さんが、まさかの芦田愛菜。ランドセルを背負って登場です。下校した小柄で可憐な少女です。親殺しの猟奇殺人鬼のイメージを抱かせるリスキーな役柄に芦田愛菜ちゃん。何でどうしてと監督は困惑の極みです。そんな監督の気持ちを知ってか知らずか、山田は真直ぐな視線で監督にキャスティングの自信を語ります。もう、笑わされっ放しです。

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こうして、第1話は終了します。常に熱を帯び語る山田と語られる度に困惑しながら巻き込まれていく監督のコントラストが可笑しくてたまりません。

第2話では、3人でカンヌ映画祭を学びます。映画を学ぶ環境下で監督の熱意が暴走気味になり、熱意の逆転現象が起きます。その監督の興奮に冷めた態度の山田も見所です。

カンヌのパルム・ドールに向ってどんな映画を製作するのか、その為に何が必要なのか、観ながらにして映画製作を疑似体験できて楽しいドラマです。このドラマは、映画に関わる人々を観る事で、映画作品に感じる想いが変化するドラマだと思います。映画好きの方には是非とも興味をもってほしいと思います。

 

何やら山田孝之の熱意が日本映画界のタブーの数々を破壊する予感がします。そうして、制作される映画が楽しみです。次のカンヌ映画祭は5月です。乞うご期待です。