シッポノリンカク

映画好きで絵描き好きな曖昧模糊な記憶。又は、自由闊達な解釈。或は、落書きやネタバレ。

さざなみさいちゅう:西郷どん -第21回-別れの唄

 

溢れる感情が、人を自然に唄わせるんだね。

 

大河ドラマ:“西郷どん -第21回-別れの唄”では波打ち際の唄に哀愁が滲みます。

西郷は時代のうねりに翻弄されながら前のめりに活躍し、絶望し、名を変え離島で暮らす。島に来て2年、暮す事で人とふれあい、良縁に結ばれて子を授かる。

西郷は平穏な島の暮らしを謳歌していた。

でも、時代の流れが彼を再び飲み込む。

 

そんな別れを受け入れられない二人は波打ち際で抱き合い、唄う。

寄せては返す潮騒に誘われるように、彼女は虚ろな目で唄い出す。気持ちは高ぶり、彼の背中にまわした手の平は音頭を取る。

波で流動した砂に足を飲み込まれたように留まり、唄い合う。

哀しい気持ちで未来に幸あれと唄う二人。その姿を取り囲む広大な海の呼吸が、時間の流れや想いの深さを連想させる。たまらなくせつない。

そして、島での3年間が終わります。

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唄は抽象的な表現です。唄を流れる詩から連想する具象的な事柄は人それぞれです。

でも、ひとつの唄を二人が共に唄う事で、同じ事柄の記憶を同時に呼び起こす時間が在るのかもしれない。唄の音頭や言葉から導かれる幾つもの追想追憶の中で感情をたかぶらせ、情緒を豊かに感受する瞬間の連続が二人の理性を圧倒してしまう。嗚呼……もしかすると、量子もつれが感情の同調を活発にさせ、絆を深めている瞬間だろうか。

目の前に居る人を想い、想われていると感じる事。

そう感じる事が、人間を信頼する力へと成長させるのではないだろうか。そして、豊かな情緒を内面から醸し出せる人柄へと形成させていくのだろう。

だから、自信を持って決断し、前へと進める魅力になっているんじゃないかな。

 

そうして、また明日に向けて目線を遠くに向ける事が出来る。幕末を奔走する西郷どんに刮目です。